茄子紺のひと
たま
茄子紺に染めてあなたのまわしなら俵踏みしめ恋尽きるまで
長茄子の紫の花何気なく紫紺に染める我が実知ってか
茄子は「成す」花の数だけ実をつけてしあわせになる畦のあなたと
足りないのあなたの肥やし気まぐれだからあたしの愛は食いしん坊
あなた時々浮気する紅いくちびる色っぽいトマトなひとに
さそり座の身の上話し朝まで聴いて夜も眠らず実を肥やす
水茄子のどこがいいのよ糠臭いあたしを焦がすキッチンのひと
激辛のスープなんて恐くないそうよあたしはインドの生まれ
スイカの隣ネギの畦ジョウロの陰のナメクジのあなたのウワサ
たまには痩せる気まぐれなあなたの肥やし心細くて切なくて
雨の日にあなたは来ない日暮しの晴耕雨読の窓辺恋し
あなたの愛は去年と同じ空あおく風あおく茄子紺のひとよ
今夜は少し色っぽい麻婆茄子よたまにわね覚悟しなさい
ひと夏の恋なんて言わない秋茄子は嫁に喰わすな浮気バレても
天の川流されて夢辿り着く冷やし素麺茄子の味噌和え
長茄子の長月の恋哀しくて畦のひと追う赤蜻蛉ゆく