鎧髪と鬣
朝焼彩茜色

女は髪が長いのが好みさ
古風なんて問答無用
理由なんて天に預けている
触覚は長けている 有利冥利

 鎧髪

鎖骨程の肉づき 皮膚から香るものは 人情と情愛
女騎の姿は風景に去る 余韻はかき消されず 切腹の痛みと残り
生き残る

戦いなんて終わりにしたい
誰が為に戦っていたのか 夢に名残が顔を出す 指折りの数程

女傑が跨る馬も女 愛している 愛していた
鎧と髪が馬の鬣と組む 一心同体に叫ぶ

負けない はずがない
勝つを続ける殺めるものを続ける 狂う

暴れ馬を宥める心に時差が圧力を加える 心が届かない

髪が悲しく靡く 鬣は電光石火 雄飛の如く 旋風を斬る 敵陣めがけ

心が届かない 一心同体に叫ぶ 届かない

戦いなんて終わりにしたい
何故 狂う 魂だけ許していた狂い 怒り慟哭に負けず許していた

悟れなかった馬に罪も欠片も微塵も空気もない
美しく散らせたかった想いさえ罪重く  夢に名残の鬣の面影 鎧髪

鎧髪を乗せた妙絶な貴女 

貴女の鬣は名残 長い髪 愛している 愛していた


自由詩 鎧髪と鬣 Copyright 朝焼彩茜色 2013-09-02 23:07:43
notebook Home