ユニセフ
月乃助


黒い肌の女が 枯れ枝のような
赤子をだいていました


たまゆら
 乳飲み子は、欲するものがえられないと
それを知ると、女の乳首を舌でおしだした


砂塵の風
 大いなる母は、古木に背をもたせ
やせおとろえた子に 瞳ざしをおとす


涙は とうに干からび
 神への注文表は、余白がないほどにうめられた


千代のむかしより ともしさは人とともにある
 でもそれは、
僕のせいではないのです・・・・・・・・・・・


天使のような顔をして
 わずかな硬貨をにぎりしめ、


一人の赤子を助けたところで、
一人の赤子を見殺しにしたところで、
そこはかとない 僕の夕げの食卓に
わずかな光りさえ 影さえ おとすことはないはず


政治にすべてを言い訳にし
 救済を課すのはご免だと 口をとがらせる


つつましい壷は、貧困の
 どれだけの小銭をのみこむのか
そこなしの 満たされることなどありようもない




人の最大の武器が、祈りならば
 ドミノのように連鎖する 波紋のゆたかさが
つ国の 飢えた母子まで
今 とどけ







自由詩 ユニセフ Copyright 月乃助 2013-09-02 18:58:19
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