秋の始まり
ヒヤシンス


夏の余韻を残しつつ私の机上に秋が来た。
窓辺から吹いてくる風はいまだ悩みを含んでいるが、
黄色く色づく葉のそよぎは過ぎ行くものの抒情を超えて、
現実と幻想の間をゆらゆらとはためいている。

時の歩みは象のように雄大で、亀のようにのろのろと、
庭園の日時計の上にその足跡を刻む。
ときには風が全てを包み、すました顔で空間へと運び去ろうとするが、
崇高なものがそれを遮り、現実の中に全てを留める。

ああ、崇高で厳格なる詩人たちよ。
九月が来たなぁ。
あなたはその白紙の上にこれから何を描くのか。

私とあなたとの隔たりの中で、私はあなたの芸術が見たいと願う。
秋が深まるにつれ、あなたの筆は冴えるのだろう。
そのとき私は改めてあなたという一個の人間と現実の中で邂逅するだろう。


自由詩 秋の始まり Copyright ヒヤシンス 2013-09-01 10:46:53
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