茫洋
ヒヤシンス


真昼の荒野に陽炎が立つ。
茫洋たる荒地の果てに大海の在るを望む。
私は干からびた海月だ。
海月に語る者は在るか。(それは心の語り手であるか。)

自らの体に楔を打て。その裂口を見よ。
それは腐っていやしないか。(それはすでに干からびている。)
もし私が生を保っている本当の海月なら、
楔を打つことも出来ないだろうに。

自己の崩壊を見過ごす事は出来ない。
ぎりぎりの所で生を保たなければならない。
ではなぜ保たなければならないのか。(それは言葉を読み取れない浅はかさ。)

今、心に深く傷を負い、絶望に苛まれている者よ。
大丈夫。あなたも私も人間であって海月じゃない。
人間はこの世に生を享けたという絶望から全てが開けるのだから。


自由詩 茫洋 Copyright ヒヤシンス 2013-08-31 17:11:30
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