カモメのことばを知らない
かんな



徒歩五分で海
という環境で育ったわたしは
ただ鈍感だった
ひどく夕陽が眩しく
一日の終わりを告げる焼けた空が
ひりひりした匂いを連れてくる
そんなものだと思っていた
その空もあの雲もしたたる雨もなびく風もすべてが
海に繋がっているということ
きみとの出会いが
教えてくれたような気がした
空気を嗅ぎ
雨がくるよとわたしに語りかける
指を差し
あの波の白いとこに魚の群れがあるという
きみは海に語りかけ返事をする
釣りをして食物を得ては感謝する
顔をあげる
きみの海はとても広い
飛び込んでみなければわからないことが
きっと多いのだ
カモメにさよならをいう
帰路を歩き出すきみの手を取って
ちいさくキスをした





自由詩 カモメのことばを知らない Copyright かんな 2013-08-31 16:12:50縦
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