雪忘れ村のケロウ・ジド
花形新次
雪忘れ村に住む
ケロウ・ジドは
散々、辛酸をなめて来たにも関わらず
まだなめ足りないらしく
夏なのにブーツを履いて
四万十市に渡り
蒸らしに蒸らした
友人烏山セツ子の足の指の間を
丹念になめては
「くーっ、辛あー!」と
悔し涙とも
嬉し涙とも分からない
じっとりとした何かを流している
自由詩
雪忘れ村のケロウ・ジド
Copyright
花形新次
2013-08-26 19:35:01