モーツァルトの朝
ヒヤシンス


テラス越しの涼しい風が私に知らせる初秋の朝。
こんな朝の友はモーツァルトにかぎる。
まろやかなホルンの音も、鋭角でありながら優しげな存在感を示すフルートの音も
煌びやかで明るいピアノの音も、全てはモーツァルト。健康な朝。

自身の苦しい人生の中、どれだけ多くの人達に希望を与えたことか。
悲しみの旋律も明朗の中にすっかり溶け込む、天才の筆。
神の申し子、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。
しかし彼は拒まない、遥か高みにまで人間の可能性を押し広げる。

これほど新鮮な気持ちを与えてくれる音楽はない。
これほど五体満足な肉体を持つ事を幸せに感じる音楽はない。
これほど弱り切った精神に活力を与え、許してくれる音楽はない。

どんなに困難な夜を過ごそうとも朝は必ずやって来る。
まだ見ぬ光景に期待を膨らませてみる。
幸せに満たされた部屋から、緑に萌える朝の風景が眩しい。


自由詩 モーツァルトの朝 Copyright ヒヤシンス 2013-08-26 11:05:48
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