夏のハレツオン
灰泥軽茶

ゴロゴロ鳴って
色とりどりの
ヨーヨー風船が落ちてきたような
夏の破裂音

軒下も見つけられずに
人気のない家の庭先にある
大きな木の下へ滑り込むと

浮世絵の世界が音も吸いこんでいき
時間の感覚がなくなっていく
平面的な感覚に
私は淡々と風景に滲み出ていき
先の細い毛筆で解されていく

誰もいない家から
戸が開きおばさんが何か言っているのに気づく
私は笑顔ですぐ出ますと大きな声で返事をし

雨の落ちる音を拾っていく
葉っぱを叩く音を拾っていく
風の音をたくさん集めて拾って
マンションのエントランスに転がりこんで
一息つけば

雲がうねり
さあさあと流れていけば
あれまあと何事もなかったような青い空に
私も何事もなかったように
びしょ濡れの身体と
さっぱりとした気持ちで外に駆けだしていく














自由詩 夏のハレツオン Copyright 灰泥軽茶 2013-08-25 23:07:15
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