色と羽 Ⅱ
木立 悟






羽を
水とともに飲み
水とともに飲み
暮れは破け
むらさきを飲み


光をくぐるもの
目をそらす埃
自分の髪を自分で編む冬
ぬかるみの故郷に降りそそぐ朝


蝋燭と火が作る字を
低い雨が書き換える
六十八と七十六
路の汚れと消える生


滴の壁 緑の矢
短いまばたきの痛みと羽音
水に降る霧
沈む輪の虹


空を頭に 頭を空に
手首と冷たさ ロシアの蝶
冬と冬のわずかな隔たり
針と叫びに照り返す


誰も認めぬあやまちの多さに
町は傾いだままでいる
鉱の光 水のかたち
暗がりが暗がりに触れる声


やわらかく小さな
青空を歩きながら
朝の光を浴びるたび
鳥は羽毛の血を流す


黒い粉がこぼれ
空の二の腕は縮み
聴こえない雷光
いつまでも西を照らしている


雨は 貯水池に置いたものを
取りに帰る
川は白く
羽毛に濁る


色を欠いた真昼
在ると無いの境いめの
一瞬の震えの連なりが
昇る花 
昇るはばたきに満ちてゆく

























自由詩 色と羽 Ⅱ Copyright 木立 悟 2013-08-24 22:49:08
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