かみかげ
中川達矢

夢を見ていた少年のくっせつ
無用の腕が ひとつひとつと音を立て
分針のリズムに置いていかれる
かみなりの先端を指先でひらいて
少年は蜘蛛の巣にからみ合っていく
浮くよりはむしろ しずんで沈んで
まるい海底に抱かれては
BPM48のビートを生きる
半開きの窓からはこうもりが飛んできて
誰もいない部屋で 夢のちいさな声がする


自由詩 かみかげ Copyright 中川達矢 2013-08-18 00:12:40
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