或る主婦の憂鬱
北橋勇輝

買い物の帰り道
道端に植えてあるように人参が置かれてる
空を見ると夕日で赤くて、視界の端からも赤い

タイムセールの時の自分は
白いレシートと一緒に捨ててきました
店員さんの顔を見れば、その値段が幾らなのか分かります

前を歩く主婦が漫画みたいに転んだ
念のため辺りを見回したが擬音はどこにも無かった
レジ袋の中から逃げるように
野菜が私の元に転がってくる
私は振り返って走り出した
あなたから逃げるために


自由詩 或る主婦の憂鬱 Copyright 北橋勇輝 2013-08-09 09:32:07
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