血をすわせる
はるな


しわをつけたたんぱく質
に管をとおして、
ビデオを返しにいくあいだに
血をすわせる
わたしでもなく、
だれかでもない、
しょざいない命にたちむかう
そんなことができるかどうか

あなたでもなく、
だれかでもない、
わたしであることに
納得するために
かってに愛した、
生活にひびをいれて

あなたが
まだ、ただの
だれかだったら
こんなふうに空の色はかわらない
でもそれは
朝顔が青いくらいに
とりが、
雛をみつめるように
自然なことだったから
さいしょから

さいしょから
あなたはあなただった
わたしはだれだった
空の半分が落ちて、
鳥はさよならをいった

私はもう、
しわをつけた
たんぱく質に情をもって
ビデオをかえすついでに
いくばくかのお金とひきかえに
これらに吸わせる
血をかっていた



自由詩 血をすわせる Copyright はるな 2013-08-09 01:39:32
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