僕は唄を歌ってた。愛する人は 時々怒るけど。
創輝

いつからかな
僕が見つめたものが 遠く、とてもとても遠くになって
目の前にいたはずのものが
僕の視界から消えていたのは。

僕の立っている地に、一体どれだけの人が生きていたんですか?

僕の生きているこの地で、一体どれだけの人間が殺されたんですか?

どれだけ優秀だともてはやされている人に聞いても
多分、正確な数字を出してくれる人はどこにもいない

僕も、何百と言う月日を重ねれば 生きていたという真実さえも蓋をされる

だから僕は消えないように唄を歌った
誰かの光に当たって、影になってしまわないように
僕の光が、誰かを陰にしてることにも気づけないまま

遠く
遠く
この空でつながる とても遠い地に住む人へ
僕の心を歌います。

だけど、遠い人におくる歌は僕の目の前にいたはずの愛している人に届かなかった。

一滴の血液が 僕を正気に戻した。
どうして、僕は歌ってしまったのだろう。
目の前にいる人にすら届けられないような 空っぽの唄。

戦えば、自由になれるなんてうそだった。
戦えば、復讐に怯えて、愛する人が心配でたまらなかった。

どうして 偉い人は僕たちを「色」や「言葉」や「住む所」で分けちゃったんだ!
僕らを分かつのはそんな生易しいものではなかったのでしょう

愛するあなたとの愛情の中にすら潜んでいる狂気で
それを持っている僕たちは全員が同じカテゴリー

僕が米粒一つ口に入れるたびに
たくさんの子供たちが飢餓で死んでゆく
そんな君へ、
遠い
遠い
僕の大声すら届かない君のいる地へ
僕は唄を歌ってました。

息をしたかった。
宿題サボって、先生に叱られたかった。
好きな女の子に告白して、振られて、もしかしたらOK貰えて(!)そんなことに一喜一憂してたかった!

僕が、どれだけ唄を歌っても
僕の望んだような世界にならないのは、僕に力がないからだ。
愛する人を傷つけるような弱虫だからだ。

なんでだろう
ずっと前、僕たちは足元をしっかりと見て、踏みしめながら歩いてた。
転んだら痛い そんなの、僕たち知ってたから
だけど、いつのまにか「そんなに簡単には転ばない」って思い込んで、余所見をずっとしながら走り続けてきちゃった

  ピッピー 速度違反です、世界中の国さん…

僕たちが求めているのは、
世界に
世界中にいる僕たちが求めているのは

僕たちが生きていたという証
家族がいて 家族を愛して
くだらない日常を笑って時には泣いて過ごせるという事実だけ

だよね?

空に向かって呟いたら、
空が泣き出した。

どこからか唄が聴こえる。
泣いてるような 喜んでるような

退屈な日常をはじめましょうよ。
届かない唄をいっぱい歌って
愛する人を時々怒らせてしまう日常を。

一滴の血液に
僕は唄を捧げたい

だけど、一回の笑顔に
僕はありったけの愛情と思いつく限りの唄を 贈りたい


自由詩 僕は唄を歌ってた。愛する人は 時々怒るけど。 Copyright 創輝 2013-08-06 18:00:50
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