ぼくと、君と、ぼくらのクラスは最強だから。 #1
創輝
君の絵の具に赤色はなかった。
赤い色をいち早く使い切ったわけじゃないみたいだった
新品の絵の具に
赤い絵の具だけが入っていなかった。
美術の時間 色面構成で、どうしても赤い絵の具が必要だったね。
「どうしてもってきていないんだ」って美術の先生困ってた。
君はうつむきながら、
周りの人が貸そうとする赤い絵の具を全て断っていた。
それからなんだ。
君の周りに、赤いものがないって気づいたよ。
赤色鉛筆、赤ペン、文房具にも 私服にも どこにも赤がなかったね。
「赤は嫌いなの?」
何気なくたずねたつもりだった言葉は
思いのほか ぼくたちの住む世界に響いたようで
君は体を縮こまらせてた。
どうしたの、って聞いても
君はうつむいたまま、何も答えてはくれなかった。
だから、ぼくは勝手に納得することにした。
きっと赤いオバケがでてくる本を読んだんだなって。
ぼくも、そういうものの影響って実はいまだにあるから。
ねえ、どうしたのさ。
どうして夏になったのに、ずっと長袖なの?
熱中症になっちゃうよ。
幼いぼくらは、君のことを平気で傷つけてしまったね。
だけど ぼくらは、あそこでコソコソ話してる大人たちとは違うんだからね…。
大丈夫だよ。
「半そでが恥ずかしいの?可愛い、ヤマトナデシコだね!」
むちゃくちゃはしゃいだクラス委員長の声がした。
大人たちは固まった。
ぼくらはそれに合わせてはしゃぎだした。いつのまにか、君は笑ってた。
「やめなさい!苦しんでいる子供をいじめるなんて……」
どっかのお偉いさんが、そういうまでは。
ぼくらはこのまんまでよかったのになぁ……
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ぼくと、君と、ぼくらのクラスは最強だから。