目玉焼きの皿がからになったらキスをする
石田とわ



     ゆっくりと目覚めた休日の朝
     起きるとテーブルにはもう目玉焼きができていた
     おはようを交わしたまではよかったのだ
          
     目玉焼きののっていた皿がからになると
     きみはさっさと片付けて 
     がちゃがちゃ音を立てて洗いだす
   
     まだ半分寝ぼけたあたまで考える 
     起きてからいったい何をやらかしたのか
     いやいや、何をやらかさなかったのか
          
     夕べ何事か朝の約束をしたのだろうか
     酔った勢いで朝一番にキスをしようとか
     いかにもきみの言いだしそうなことだ
     またぼくもつい調子にのっていいそうだ
          
     皿を洗う口がへの字に曲がってるし
     親の敵のようにごしごし皿を洗うきみをとめるには
     どうしたものだろう
     コーヒー片手に新聞を読むふりをしながら
     そんなきみを盗み見する
          
     きっとそのうちきみは怒りながら泣きだすだろう  
     そして休日の午後はそんなきみをなだめて終わる
         
     まぁしかたがないか
     これがぼくの幸せの在り方なのだから
     やっぱり休日はおはようのキスからはじめよう







自由詩 目玉焼きの皿がからになったらキスをする Copyright 石田とわ 2013-08-01 01:18:20
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