九官鳥
壮佑


今日はコーヒーショップで
売買契約を結ぶことになっている
しかしコーヒーをひと口飲んだ途端
売るのだったか買うのだったか
金額はどのくらいで
そもそも誰と何を売買するのか
きれいさっぱり忘れてしまった
まあいいや だけど
何となく気分がスッキリしない
ふいに至近距離から視線を感じたので
となりのテーブルを見ると
鳥類行商人が双眼鏡を眼に当てて
じっとこちらをウォッチしている
私はとても腹が立ったので
強い口調で文句を言った
「きみ、失礼じゃないかっ!」
すると鳥類行商人は
「なにおぅ、このケンカ買った!」
威勢よくそう言うと
鳥籠から売買契約書を出してきた
そうそう思い出した
私はあわてて署名と捺印をし
九官鳥を一羽手に入れたが
頭に特大のたんこぶを作ってしまった
「ちょっとお勉強し過ぎたね」
九官鳥が笑った





※文書グループ「コーヒーショップの物語」





自由詩 九官鳥 Copyright 壮佑 2013-07-29 20:45:21
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