ニュータウン
atsuchan69

あたらしい妻とあたらしい夫、
あたらしい家とあたらしい隣人たち
愚かで口うるさい奴らは死んだ
そして煩く吠える犬もいなくなった

穴の開いた靴下はもう履かない
寝苦しい夏の夜に鼾を聞くことも
笑えない話を大笑いして聞くことも
不味い料理を食べることも今からはもうない

さあ、嫌な思い出は燃やしてしまおう
都合の悪い思い出をぜんぶ燃やそう
似合わなくなってしまった服や靴と一緒に、
血で染まった思い出をぜんぶ焼き払おう

街の広場には黄金のアピス像が建ち、
より多くの不正と邪な想いによって
窓という窓には夜通し灯りがともり、
どの家にも嘲りの声が絶えない

山を削り、街には様々な店が立ち並んだ
学校が出来、金融機関が信用取引を始める
アスファルトの道がそこ彼処に張りめぐらされ
ふたたび禁断の祭壇に花々が飾られる



自由詩 ニュータウン Copyright atsuchan69 2013-07-28 15:11:46
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