一昨日の夜
紫蓮

昨夜は
本当にありがとうございました


あのとき私は言葉に対して
恐怖しかなくて
期待して絶望する私がとても滑稽で
言葉を拒絶して
足掻いていました


切りそう
切りそう
一分一分
剃刀が悩ませる


言葉なんて
いらなかったの


「温もり」


あのとき
一瞬何が起きたのか分からなくてね
苦しくなったんだけど

かすかに貴女の裾が見えたの

ああ、僕は今
抱き締めれてるんだと

どこかで納得した
こんなことできるのは
貴女しかいないって


とても
嬉しかった

僕が意地でも笑って笑って
だんだん
どこかで凍りつき始めた心


涙が滲みでた


あんな安らぎは
本当に初めてのことで

きっと貴女以外の人だったら
僕は拒絶して暴れていた

貴女の不思議な雰囲気
僕にはそれが何なのかわからなくて



あのとき
ただ、ただそれを感じていました。

あのまま、
不幸のまま
遮断していたら
今また剃刀と相談していたと思います。

僕は剃刀が視界にあっても
切ろうと思わない。

助けてくれて
本当にありがとうございました。

今日も楽しむ術を探しに
僕の知らない術を探しに
気合いを入れて平然を気取って
重たいドアをあけていこう


自由詩 一昨日の夜 Copyright 紫蓮 2013-07-26 08:55:38
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