星になりたい
田園

星になりたい



うつくしき者たちの裏側に
みにくき私のような者たちが存在する

みにくき私は「うつくしいもの」を渇望する
池に写るみにくき己の姿を見つめ
ただ「うつくしきもの」を求める

それがなんなのか分かっていないのに

白痴のような私は
ゆがみ
みちぢこまる


一等輝く星を見て
私は死んだら星になりたいと思った
陳腐な願いだろうか

ただ
辛酸をなめ続ける人生の終わりに
次は光り輝く星になれると知ったら
きっと嬉しいと思ったから

私のようなみにくき人間は
世間の隅に這いつくばって
こぼれた銭を集め暮らしているようなもの

救いを求めるのもおこがましいかもしれないが
私は星になれたら
泥の中でヒルに血を吸われ続けても
何とかなると思ったのだ

ひっそりと暮らす私の家族
私の描いた死ぬ三日前の犬のクロッキー

しあわせが涙で揺れる
人が見たらなんと滑稽だろう

しかし私は星になりたい

ただ
星になりたい


自由詩 星になりたい Copyright 田園 2013-07-25 23:56:37
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