文月の紙ひこうき
月乃助


文月二十日
 解剖のひつようもなく
 わたしの うちに
 命の 砂時計の残りをたしかめる日


オメデトウ 
 オメデトウ


神々が休むことのないように
 あゆみを止めず
 靴は、ぼろぼろの
 わずかな貯えで、あらたなものを手にする代わり
 原初的飛行体に身をまかす


するどく引かれた
 心のはてに広がる 撓んだ水平線のむこうに
 なべてのものの 神々しい文明が、かならず滅亡するような
 確かなことをもとめ


空のかるさを得ては、
 飛びたつ


運命がつくりだした 傷口の滑走路を、
 遠近法のペテンは、その始まりの
 一点をすべての 影のなかに隠したまま


もう長く
 わたしは、幸せをやしなうため 嘘という餌を与えつづけたくない


繁殖期を終えたなら
 貪るこころを うめようと
 ガラクタの夢を つめようと
 完結などされようもない
 旅にでる


空の青さにつづられた

 暗号文をといてみせる

 わたしは、


 文月 生まれ








自由詩 文月の紙ひこうき Copyright 月乃助 2013-07-23 19:49:56
notebook Home