そうやって君のやさしさであるように
かんな


この頃 奴のことを思い出す
十代
という壊れそうなほどの
脆くできた日々を共にした奴のこと

わたしが幸せになったから
「君もそろそろ愛すべき人を
 手に入れたかい?」
そう思うのか。

「君の現在の人生という
 レールや彩りの中に
 わたしがいないこと、淋しくないかい?」
そう感傷的になるのか。

わたしは今というレールを
 走っていること。よかったと思ってる。
その結果として
 君にはもう会わないと決めたこと。
まちがいではないと思う。

だから時々思い出すのは許してほしい。
そして勝手な想像をすること、笑ってほしい。

君が誰かを愛し、結婚し、子供をもったり
そのすべてを幸せだと思って生きている
と、決めつけること、
バカだなと思ってほしい。

君からもらった物はない。
でも「一生 貸しておいてやる」と言って
借りたものがある。
するい奴だ
借りているから処分もできない
会うことはないから返すこともできない
ずるいなあ君は。

 泣きながら君の家のドアを叩いて
 泣きながら君のベッドを占領して
 眠りについた夜のことを覚えている

でもさ
それはもう昔のことになった
過去は振り返ってすこしバカやってたな
と笑うためにある

やさしいような。
また形を変えていくような
そういう思い出を君と共にありがとう。





自由詩 そうやって君のやさしさであるように Copyright かんな 2013-07-21 13:12:56
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