滝壺のなかで愚痴を言う仙人
ぎへいじ

これは 泡なんですよ
基本的に 空気ですから

その中へ 飛び込むって事は パラシュートの浮き輪無しで飛行機から地面へ飛び降りる様な事だったとは気がつきませんでした

浮いて来ませんよ
上からは訳の分からない水圧かけられて
この平凡な肺では息も出来ません

仙人だから大丈夫
冗談言っちゃあ困りますよそりゃあ御先祖様は知りませんよ

生身で翔べる訳け無いでしょう
そんな
試しに飛び込んでみたけど この有り様で

えっ
霞みを食べるのは
だから あんなもの食い物じゃないでしょう

働いていますよ仙人だって
食べなきゃあ


世間は水中より生ぬるい
勘違では済まされない笑えない大誤算の仙人社員が俺

ジーーと我慢していれば浮き上がって来る事が有るって噂を流してくれても
すでに泡の中にいる俺に やれる事は必死でもがくしか無いです

落ちるにしても落ち所をしっかり見極めるべきだったなあ

あー息苦しくなって来た

毎日が

ところであなた 誰
そんな重そうな甲羅を背負ってもライフジャケットのかわりにはならないでしょう

こりゃ変態だなあ


悲しそうな瞳で俺の足を何で握っているの

あっ 浮いた
はーすっきりした
また頑張ろ


自由詩 滝壺のなかで愚痴を言う仙人 Copyright ぎへいじ 2013-07-21 07:05:43
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