はなび ふる
カンナ

どんっ ど ど どん ぱっ ぱら ぱらぱらっ
どんっ ぱらぱら


時計の針は 七時半

「そろそろ、はじまるころだものね」

どぉん どど どっ ばばばっ どんっ


「ほらね、五月蝿くてしかたがないわ」


「お姉ちゃん、はなび嫌いなのかなぁ」
「なのかなぁ」
「かなぁ」
「ほら あんた、きいてごらんなさいよ」
「ええっ 僕?」


「はなび? えぇ、今はあまり、ね」


「はなび、ぜんぜんみえないよう」
「どれどれどれ あっ わたしにも」


「昔とかわっていまはもう、私たちはとり残されてしまったの」



はなびは打ちあがってるみたいね うちが低くてみえないけれど

明るくなってる空はみえるのよ はなび自身ははみえないけれど


じれったくって。 もどかしくって。 なんて酷い気分なのかしら。

はっきりしてよね。 まてないんだから。 なんて酷い気分なのかしら。


部屋の隅で 息を殺してる

綺麗にただんだ 紅い浴衣


ごめんなさいね、 ごめんなさいね、 今年も着てあげられないなんて


どんっ ど ど どん ぱら ぱら ぱら








自由詩 はなび ふる Copyright カンナ 2013-07-20 20:38:21
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