ゆらぎ/夏
佐東

ゆらめいている
薔薇沿線のかたわらで
白い女の子たちの
折り目正しい
プリーツの

祈りの姿勢はいつも
夏うまれの呼吸をついばんで
ひまわりの瞳の高さまで
つん と
背のびする
夏の水際で
すこやかなうなじ
そっと浸すように
ゆっくりと浸透させてゆく
あの
おぼえたての
息つぎの
しくみ



ゆらめいている
白い女の子たちの
はね上がった語尾の群生は
クレマチスの
つる先に
絡めとられてしまうから
陽炎のような
やわらかなウェーブの
長いくせ毛のさきに広がる
水没した街並みをくぐり抜け
音のない雨が通りすぎてゆくのを
汗ばんだ対流の中で
見つめている



浸水する青の影に
いちいち怯えてしまわないでね

花もようの ゴンドラの
到着時刻なら

とうに
 
 
 






自由詩 ゆらぎ/夏 Copyright 佐東 2013-07-20 08:45:12
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