ゆらぎ/夏
佐東
ゆらめいている
薔薇沿線のかたわらで
白い女の子たちの
折り目正しい
プリーツの
祈りの姿勢はいつも
夏うまれの呼吸をついばんで
ひまわりの瞳の高さまで
つん と
背のびする
夏の水際で
すこやかなうなじ
そっと浸すように
ゆっくりと浸透させてゆく
あの
おぼえたての
息つぎの
しくみ
ゆらめいている
白い女の子たちの
はね上がった語尾の群生は
クレマチスの
つる先に
絡めとられてしまうから
陽炎のような
やわらかなウェーブの
長いくせ毛のさきに広がる
水没した街並みをくぐり抜け
音のない雨が通りすぎてゆくのを
汗ばんだ対流の中で
見つめている
浸水する青の影に
いちいち怯えてしまわないでね
花もようの ゴンドラの
到着時刻なら
とうに