七月砂丘
佐東

(波が、足もとで。)

うまれたばかりの波の子らが
ころころと笑いあう
くるぶしの
ちいさな砂が
星のかたちの足あとをつけながら
ひそやかにのぼってくる
ふくらはぎの

わすれてしまうほど
くすぐったいのに
涙しかでないなんて

(それは、星の砂ではありません。)



光の孔雀が羽根をひろげて
ぽうぽうと鳴きながら
うまれてゆくしんでゆくをくりかえす
くりかえしてる
やわらかな波が
胸の中から
はみだして
白い足あとをつけながら
ひきしおを追いかけてゆく



夏のはじまりの
灯火にゆれる砂丘の稜線

(ここまでが、海で。)

(ここからが、夏で。)

あいまいにしている
境界線は
水面をすべってゆく海鳥の
たしかな羽毛に
白くにじんでゆく







自由詩 七月砂丘 Copyright 佐東 2013-07-18 16:38:03
notebook Home 戻る