午後のスケッチ
佐東

1.

荒田電装の
スレートの屋根に
砂を
まきながら
夏の午後が
とおりすぎてゆく

猫背の遠浅が
満ちてゆくように




2.

大量に捕った
ショウリョウバッタ
虫かごに詰めた
汗くさい ぼうず頭

ないしょの
狩り場を
ヒマワリに
つけられていたとも
しらないで




3.

風の
とおり道に
すわる

風に
おしえてもらった
やりかたで




4.

子どもらの声が
しなくなった
午後のプール

見つからないよう
交尾している
ギンヤンマ




5.

だれもいない
理科準備室の
人体模型

体育館の
バスケットゴールに
ぶらさがる




6.

たいようが
しおらしく行列している

低温やけどした廃屋の隅で
優曇華が
ふふ。と
開花している









自由詩 午後のスケッチ Copyright 佐東 2013-07-12 12:57:56
notebook Home 戻る