犬も少年も
TAT
三十三年も前から人生はどこ行っても良い虹色だったのに
それを丸ごと棄てたのは俺だ
パレットに
嘯いて黒と白の絵の具しかひねらなかったのは俺だ
灰を発明したぞと道化たり
銀に辿り着いたと威張ったりしながら
モノクロの絵を描き続けたのは誰だ
俺だ
すまん
悪い
でもさ
結局
今更
ラッセルみたいな綺麗なイルカは描けないからせめて
最期にあんたに似たバーミリオンを一点だけ落として
俺のこの下らない絵を
礼拝堂のコンクールに出してもいいか
犬も少年も
泣かないだろうけれど
自由詩
犬も少年も
Copyright
TAT
2013-07-11 20:25:04
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