猛暑日
nonya
酸欠状態で喘ぐ金魚が
水面を見上げる角度で仰いだ空は
怖いほど明るい色をしていた
アイスクリームよりも呆気なく
溶けて流れ出したフレーズを
おろおろと掬い上げようとしたら
それは舗道にプリントアウトされた
自分自身の影だった
外気温が体温を上回る日に
詩人などと名乗っていたら
瞬く間に蒸発してしまいそうだけれど
アイロニーをまといつかせながら
アイスカプチーノのストローを
かじっている場合じゃない
いますぐ
その小戯れた水槽を飛び出して
焼けつくような肺呼吸で
蜃気楼のターミナルを目指そう
蒸発しかけた鎖骨の裏側から
逃げ出そうとしているパトスを
すでに蒸発してしまった指先で
捕捉することができたらしめたものだ
せっかくの猛暑日なのだから!