猛暑日
nonya


酸欠状態で喘ぐ金魚が
水面を見上げる角度で仰いだ空は
怖いほど明るい色をしていた

アイスクリームよりも呆気なく
溶けて流れ出したフレーズを
おろおろと掬い上げようとしたら
それは舗道にプリントアウトされた
自分自身の影だった

外気温が体温を上回る日に
詩人などと名乗っていたら
瞬く間に蒸発してしまいそうだけれど

アイロニーをまといつかせながら
アイスカプチーノのストローを
かじっている場合じゃない

いますぐ
その小戯れた水槽を飛び出して
焼けつくような肺呼吸で
蜃気楼のターミナルを目指そう

蒸発しかけた鎖骨の裏側から
逃げ出そうとしているパトスを
すでに蒸発してしまった指先で
捕捉することができたらしめたものだ

せっかくの猛暑日なのだから!




自由詩 猛暑日 Copyright nonya 2013-07-10 20:05:08
notebook Home