壮佑


コーヒーにミルクを垂らし
スプーンでかき混ぜると
渦の中から喋り声が聴こえてきた
「明日はゴミ出しの日だよ」
うるさいなあ分かってるよ
と思いながらカップを覗くと
超小型の牛が泳いでいる
スプーンで取り出してやると
小さくても豊満なおっぱいから
ミルクがぴゅるぴゅる出続けている
おっとトレーの外にこぼさないよう注意
すると隣りの客がこっちを見て
「ああ、また牛が出ましたか。
私は家内に捨てさせましたよ」と言う
「明日はゴミ出しの日だよ」
牛は同じことを繰り返している
「それじゃあいったん持ち帰って
明日ゴミ収集場所に出すとしましょう」
牛は急にミルクを止めると
かなり焦った顔になって
「明日はゴミ出しの日じゃないよ」
今度はそう言い出した
私は聞えよがしに隣りの客に言った
「じゃ〜あ明日はすき焼きの日ですなあ」
「ほう、そりゃいいですなあ」
「うわははははは」
顔を見合わせて大笑いしていると
牛はひと言「グスン」と呟いた
ごめん
冗談ですジョーダン




文書グループ「コーヒーショップの物語」





自由詩Copyright 壮佑 2013-07-07 21:15:53
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
コーヒーショップの物語