ティーバッグの悲劇
梅昆布茶

あたしはしがないティーバッグ だれもあたいなんか見向きはしない
男に飲まれ味あわれて生きてきた 昔は跳ねっ返りなんて呼ばれてたっけ

あたいの味は出尽くしてしまったの 悲しいけれど もう恋もできないの
まるで足枷のついた自由を生きているみたい もうだれも好きじゃないし

空っぽの瓶は空っぽな音で鳴るの ヒューヒューってね
辛くても溜息も出ないの 壊れたオルガンみたいに 誰も弾かない

不幸の猫があたいに何匹もまとわりついて囁く ニャーニャーってね
哀しい女ってね ちっとも役に立たないんだ ブツブツと独り言ばっかりで

戸をたてったって聞こえちまうんだ 近所のおばさん達は あたいを忌み嫌ってる
あたいだってあいつら呪ってやるさ ただうるさいだけのババア達さ

月が傾くころ空に帰るんだ 自由な空へ
もう怯えない 最初から何もないんだもの だってあたいはティーバッグ

3分もあれば で尽くしてしまう女

ね〜 それでもよかったら抱いてみて






自由詩 ティーバッグの悲劇 Copyright 梅昆布茶 2013-07-03 15:12:49
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