ため息
未有花

黄昏の街を駆けて行く影法師
眩暈にも似た既視感に
いつまでも立ち竦んでいた
きっと夜はまだ遠い

*

退屈な雨の午後
迷宮のような街を眺めていた
陰鬱な気持ちを弄ぶように
霧雨がすべてを隠して行く

*

戯れに言葉を紡いで
めちゃくちゃに文章を綴る
いい加減気付いたらどうだ
厳しい現実というものに

*

ためらいがちに弾く
メンデルスゾーンの夜曲(夢)
祈るようにいつも思っていた
君の笑顔に夢で逢えたらと

*

例えばこれが夢で
目覚めればすべてが元に戻っていたらと
一抹の希望を胸に朝を迎えても
記憶が戻ることは決してない

*

誕生日を迎えるたびいつも
迷惑な朝日にとまどう
いくつもの時を数えながら
今日という日にため息


自由詩 ため息 Copyright 未有花 2013-07-03 09:10:20
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