そして、時代は。
Ohatu

http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=275302 の続き。

はじめに言っておくが、私は今、カエデのマークの国に住んでいる。よって日本に対して得られる情報は所謂「アップされたもの」のみである。誰かが巧みに情報操作をし日本の内外での情報の遮断を完璧に行ってれば、私は日本が今戦争中であろうが、飢饉に見舞われていようが、富士山の噴火によって関東平野が消滅していようが、それを知る術は無い。

アベノミクス。デフレの脱却、公共事業などの財政出動、成長戦略の発動が3本の矢と称されている主要な政策方針だそうだ。ちなみに、このうち3つ目になる成長戦略に対する政策については、具体的な内容を把握できていない。

概ね、国内外から、好評なようである。

私は、そうは思わない。この政策は日本人を幸せにしないからだ。

一言でいうと、デフレが原因と見るか、デフレが結果と見るか、という話だ。デフレを原因と見れば「デフレを脱却する」ことをすれば良い。物価を上げる方法はいろいろあるのだから、その中から一番簡単な方法を選べば良い。たとえば、円安誘導だ。例えば日本の食糧自給率は39%、そんな国で円安に誘導すれば簡単に物価を上げられる。

しかし、デフレを結果と見ればどうか。その場合、そのデフレの原因を考えなければならなくなる。デフレの原因は、何か。簡単だ。賃金の低下だ。他にはない。なぜ賃金が低下したのか。円高のせいか。違う。日本企業に競争力が無いからだ。なぜ、競争力が無いのか。経営者にも社員のも製品の競争力を維持し向上させるだけの感度が無いためだ。何に商品性があって、何にコストをかけるべきか、分かっていない。なぜ分かっていないのか、それはつまり、文化や芸術などの素養の問題だ。美意識と言えば良いのか。

これを逆に追うと、根底にある美意識によって高い商品性を確保する。高い商品性が高い競争力となる。美意識によって保たれる商品性であるので、他国や他企業によって代替されない。代替されないのだから価格競争に過剰に晒されず、賃金は維持できる。(これは美意識を全社員が共有しているという前提が必要だが。)賃金が上がれば、もともと美意識のある人々は少し高価でも価値のある物を選ぶ。その結果として物価は上昇する。

この「美意識」が商品価値を決定するという論理は大袈裟かも知れないが、見てほしいのは何かを「原因」と見るか「結果」と見るかで、こんなにも違ってしまうということだ。

また、そういう目で見たときに、デフレを原因とする今の政策は正しいのか。私は正しくないと思う。そして、デフレは解消し、デフレを作り出した世界の歪みは温存されるだろう。さて、どうだろうか。答えはそのうち分かる。国民所得の中央値は果たして改善するだろうか。


散文(批評随筆小説等) そして、時代は。 Copyright Ohatu 2013-07-02 07:31:25
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