凍湖(とおこ)

電車のおとが絶えたころ
ひとりで眠っている
わたしは砂になり、シーツのうえにさらさら
零れていく
ラピスラズリの砂です。

あの人の声とともに
ゆめがせなかに打ち寄せて
やわやわと脚にからみ肩をつつむ
抱きしめられた、かもしれない。
そして、去っていった。

薄明がカーテンのすきまから滲み
カラスが鳴き始め
新聞配達が町内をまわるおとがして
ポストに投げ込まれる

さっきのつづきは
この朝を誠実に繰り返したあとに訪れる
でしょう。

ベッドで藍色の砂を払って
味噌汁を作る指先が青く
部屋があたたまり
きょうも、つづきがはじまる。


自由詩Copyright 凍湖(とおこ) 2013-07-01 20:37:02
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