生きる気持ちは歩く死体の中に
ホロウ・シカエルボク



化石の心が取り憑いた
寝苦しい夏の夜だ
眠りも目覚めも始まらない
首吊り死体みたいな時間だ
脳味噌には粘土が詰まっていて
こねくり回される夢ばかり見る、そうさ
朝でも昼でも夜中でもさ、同じことさ
嘘の覚醒と嘘の睡眠、釈然としない緊張と弛緩
爪を切るように、境界を諦めてみなよ
ソウル・サヴァイバーの気分がお前にだって分かるはずさ
あつらえられたものがいつだってしっくりこない
用意されたものを受け入れられた試しがないのさ
それは制限を受けるということだから
海の一角で生きる養殖の魚みたいに
朝から何度も緊急車両が表通りを騒がせている
どうしてそんなにあちこちでぶっ倒れているんだろう
そういや昨夜は遅くに火事があったよ
一際けたたましい鐘の音が鳴り響いていた
火事で死んだ奴らは一つところに寄り集まって
たった一つの小さな肉の塊になるんだそうだ、いや、ただ思い出しただけ
昔本で読んだ話をただ思い出しただけのことさ
くだらないことを話してんなって笑ってくれればそれでいい
そうさ、そんなに分かりやすいことは
この世の中にはそんなに溢れてるわけじゃない
あらゆることはただ散漫に、あちらこちらに漂っているだけさ
生や死の明確な定義を、あんたは何処かで見たことがあるっていうのかい?
受け止めたそのまんまが一番正しいことなのさ
新しい月と、新しい週が、同時に始まるそんな日の早朝、新しく始められるようなことはまだ何もなくって
しいて言えばフリック入力なんてもので
どれだけ長々と綴れるか試してみていたり、せいぜいそんなことさ
化石の心が取り憑いた、俺は感覚的にちょっと
腐敗みたいなものを味わいながら
あえてどんな気分だって自分に問いかけてみるんだ
そろそろ眠らせろって、脳味噌が身体を痺れさせ始めていてもさ
ねえうまく眠れない夜には、どんな夢を見るのがいったい適当だろうか
要領を得ないイメージの断片が垂れ流されれば
それが一番いいのかもしれないな
酔っ払いが馬鹿でかい声で喋りながら通り過ぎる
何をそんなに楽しいことがあるっていうんだい
あちらこちらの小型犬が反応して喚き出す
それは俺の心中に僅かに巣食うイラつきに似ている
だけど今日のところは知らんふりをしておくぜ
今日のところは深く突き詰めたりはしないぜ
だってそろそろ眠らなくちゃいけないんだ
やるべきことが何もないわけじゃない、明日も何かしら進めなくちゃいけないことはあるものさ
どうだい、新しい書き方には慣れてきたかい、ソウル・サヴァイバー
明日のラウンドにはもう少し楽しいことが
散漫に待っていてくれればいいよな
洒落たリズムの音楽みたいなもんで構わないから
それ以上はたいして望むものもありはしないから
さあ、お休み、邪魔をしたね


明日目覚めたら
天気次第ですぐに出かけよう
いつか忘れていた幾つもの何かが、待っていてくれるかもしれない
そしてそろそろこれを終わりにして
夜明けと追いかけっこで眠ることにするさ



自由詩 生きる気持ちは歩く死体の中に Copyright ホロウ・シカエルボク 2013-07-01 11:53:04
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