タイムマシーン
モリマサ公


元気よくそらにむかって
目玉たちは落ちてゆく
音のする方向へ飛ぶことに
慣れてしまったからだから
重力のための
地図が
まぶしく
ひろがって

孤独で透明なタイムマシーンが
爆音できえていく

意味のわからない記号てきな
やさしぃ
「なんでだろう」
何本もの地平線を埋め尽くす
「どうしてだろう」

ガラス窓はどこまでも平等
目をつぶればうらがわを
よこぎってく
エキシビジョン
ほうき星
つめたくてあたたかい地球

まっさおに流れてる
天の川で
おぼれながら
コミュニケーション能力を問いつづけ
軽くしぬ

わたしたちに
名前なんかなかった
みんなどこか欠けている

誰かのものだったり
誰のものでもなかったりする声
メッセージ
くりかえしている
くりかえしながら
欠けていく

あかりがはじけて
暗闇のチェインソウが鳴る
町の底
いろとりどりの旗がゆれて
水玉模様にのめりこむ顔たち
うらがわを
捨てられた瞬間が
およいでる

わたしたちに
名前なんかなかった
みんなどこか欠けている

誰かのものだったり
誰のものでもなかったりする声
メッセージ
くりかえしている
くりかえしながら
欠けていく

生まれてすらいない水滴が
すがすがしく燃えている
海にとびこんだ喪服が一気に重くなる
かがやきながら風景がやぶけて尖り
隙間たちがあっちやこっちにふきとんでく
ひとりぼっちでまわりつづける
氷の太陽の裏側の下で
ファミレスの真夜中
コンビニの帰り道
自動ドアが柔らかい
容赦ない炎がひろがり
全てが燃えてる中心にある
やさしぃ
「なんでだろう」
色あせていき数となる日々
「どうしてだろう」

孤独で透明なタイムマシーンが
爆音できえてゆく

わたしたちに
名前なんかなかった
みんなどこか欠けている

誰かのものだったり
誰のものでもなかったりする声
メッセージ
くりかえしている
くりかえしながら
欠けていく

きめのこまかい地球の表面にぽつんとすわって
あまいあまい空気がおおっている銀河を呼吸する
呼吸しながら
軽くしぬ

わたしたちに
名前なんかなかった
みんなどこか欠けている

誰かのものだったり
誰のものでもなかったりする声
メッセージ
くりかえしている
くりかえしながら
欠けていく

むこうには誰もいなかった
あそこには誰もこなかった

わたしは誰ともこなかった
あなたは誰ともいなかった









自由詩 タイムマシーン Copyright モリマサ公 2013-06-28 01:05:20
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