こがね ふちどり
木立 悟






水滴の柱が
ゆうるりと地に立ち
午後と夜を映し
震えている


沈みきるまで
樹を見つめる月
荒れた青を
荒れた灰の的に射る


諦められた水色のむこう
冬のような真昼の姉妹
明るさと刃と
一本の径


祭はふたたび祭となり
命を巡る渦を描く
岩と岩の重なりの淵
神でさえも分からぬ化粧


終わりだという兆しなのか
それとも既に終わりなのか
曇を待たずに雨を弾く午後
身を切るように腕ひらく雪


紙の湖面
ひろがる波紋
いけどもいけども
廃屋の国


水へ水へ傾く岩が
あるはずもない樹の影を見る
皆も己も空も知らぬ
ただひとつの曇がすぎる


埋もれた十字
咽の渇き
土を撒く足
冬を彫る径


街の傍にころがる冠
冬の原を映す冠
手わたすたびにこぼれる蒼
かしずくものらを照らしている


銀と鉛と灰の標が
別の方を指して倒れる
霧はまるくやわらかく
背しか見えない生きものに添う


たくらみをふちどり
無に至るまで明るく
夜の径をつかむ手のひら
曇間をすぎる声を聴く































自由詩 こがね ふちどり Copyright 木立 悟 2013-06-26 23:57:23
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