新しい夏
なかうち まゆこ

部屋の中 わたしの吐息で満たされていて
蒸し暑くて目が覚めた

普段お洒落なんてしないから
どうしたの?って聞かれて恥ずかしくなった赤いペディキュアを

あれから何度も何度も塗り直した

思い出を反芻しながら
ゆっくりゆっくり歩いて
あの日のプラットホームに着く頃には
すっかり新しい夏になっていた

夏の匂いに 懐かしいと感じて
紛れもなく時は進んでいることに気付かされた

下り列車が勢いよく到着して
なびいた長い髪は、もうあなたの趣味とは違う
さらさらと頬を撫でて

ふっ と
わたしは笑った


自由詩 新しい夏 Copyright なかうち まゆこ 2013-06-25 03:05:29
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