破顔の片時 ②
信天翁

加齢の彼氏が
   ライスカレーを頬ばっている
   あぶら顔をさらして

席をへだてた 妙齢の彼女は
   茗荷のてんぷらを注文している
   涼しい顔を店主にむけて

しにせの大衆食堂は たそがれどき
   たばこの煙が細々と たなびき
   エアコンの呼気が悠長に ながれる
   調理場からは皿のかち合う 音もして

あゝ そうだ このけだるさこそ
   たしかな 片時のやすらぎにちがいない
   片田舎の庶民にとっては

      



 

  


自由詩 破顔の片時 ② Copyright 信天翁 2013-06-21 19:59:28
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