愛の夢 (リスト「愛の夢」を聴きながら)
乱太郎


夢の扉の向こう側に
絹の衣装を纏ったあの時の
嬉しそうに君
幻になった
君の
優しかった歌
ユリの花束も抱え切れないほど
飾って置いた無傷な部屋


/海底に沈んでいった記憶の箱
藻に絡まって
開ける術さえ泥に埋まっていく


これから
どんな季節が訪れようとも
忘れはしない
あなたへの感謝の気持ち

シロツメクサを束ねながら
誓い合った僕たち


/幾日かの昼と幾日かの夜は
 時計のネジをはずして
 窓越しのキスと重なる透明な裸体


難破船
嵐が訪れたその夜
行方不明になった君
もう二度と出会うことはなかった



やがて

朝の陽射しで目覚める

夢の扉は
夜になるまで開かない




自由詩 愛の夢 (リスト「愛の夢」を聴きながら) Copyright 乱太郎 2013-06-21 17:00:23
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