ぼくにできること
たま

れんちゃんは犬なのに
お手もできない

ある日
このぼくにできることを数えてみた
あれと、
これと、
それに、
三日数えても尽きなかった
それで
ふと、気づいて
そうだ
ぼくにできないことを数えてみよう
えーと、
んーと、
三日たってもひとつも見つからない
このぼくにできないこと

できることがひとつ増えるたびに
できないことがひとつ消えてゆくと、思っていた
でも
生まれたときには
ぼくにできないことはなにひとつなかったかもしれない
すべては
お手とおなじ
できることがひとつ増えるたびに
できないことがひとつ増えていたのだろう

いま、できないことが見つからないのは
ぼくの器用が尽き果てたからだ
ほんのすこし
器用に生きた
ただ、それだけの話しだ

だから
れんちゃんにお手を教えないのは
このぼくなんだから
この先、ずっと
お手ができなくても
れんちゃんにできないことは
なにひとつなくて

しあわせな日々がつづくのです













自由詩 ぼくにできること Copyright たま 2013-06-21 15:21:02
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