ひかり めぐり
木立 悟




今は六時
光のうろこ
空の隙間
土からの声


風とおしの良い
泥の街だ
姿の無い
列車の音も聞こえくる


うなじに揺れる羽も尾も
すぎる翠の反対を向く
背中を揺すられ ひとかけらこぼし
放逐された鉄を歩む


剥がれる一人
飲みこむ鼓
地平は燃える
八つの頭


舟 息 陽
三つを結んだ真昼の無
ふくらむ角に
積もるうつろ


火の前のつぼみ
火より明るく火を照らす
耳に羽に尾に傾く路
倒れそうで倒れぬ路


またたく夜の
海かこむ森
浪と狼 白く白く
月へ月へ打ち寄せる


うつむく光
径を曲がり
灯り無き家の骨格を
ひときわまばゆく照らし出す


目に涙を浮かべた山羊が
なだらかな丘の斜面を見ている
青空が青に隠すものたちを
ひとつひとつ踏みつけながら


径もうなじも羽をたたみ
光や滴 陽の枝にまみれ
昼にも午後にもなれぬまま
撒かれる景を巡りつづける
























自由詩 ひかり めぐり Copyright 木立 悟 2013-06-21 03:09:35
notebook Home 戻る