ひかり めぐり
木立 悟
今は六時
光のうろこ
空の隙間
土からの声
風とおしの良い
泥の街だ
姿の無い
列車の音も聞こえくる
うなじに揺れる羽も尾も
すぎる翠の反対を向く
背中を揺すられ ひとかけらこぼし
放逐された鉄を歩む
剥がれる一人
飲みこむ鼓
地平は燃える
八つの頭
舟 息 陽
三つを結んだ真昼の無
ふくらむ角に
積もるうつろ
火の前のつぼみ
火より明るく火を照らす
耳に羽に尾に傾く路
倒れそうで倒れぬ路
またたく夜の
海かこむ森
浪と狼 白く白く
月へ月へ打ち寄せる
うつむく光
径を曲がり
灯り無き家の骨格を
ひときわまばゆく照らし出す
目に涙を浮かべた山羊が
なだらかな丘の斜面を見ている
青空が青に隠すものたちを
ひとつひとつ踏みつけながら
径もうなじも羽をたたみ
光や滴 陽の枝にまみれ
昼にも午後にもなれぬまま
撒かれる景を巡りつづける