海の六月
佐東

しぶきをかけぬける
ふくらはぎの
まあるい
着水点

夏の鼓膜に
そっと
折りかさなる
六月の
ふやけた骨格を
並べかえる

君は
雨だれに
擬態したまま
あじさいの葉脈を巡る
うすむらさきの
路地裏で
見えない雨が 
とおりすぎるのを
瞼の裏がわで
まつ


(すって (すって

  ((はいて

(すって


こきゅう

ととのえて
ほら
点在する
水の匂いを辿る
ゆび先の路線


 ず っと、
 まってても、
 水平線、
 なんて、
 到着しないこと、

 わかってる。


六月の
こきゅうに
やわらかく象られたまま
君は
遠い渚の
よびごえを
きく








自由詩 海の六月 Copyright 佐東 2013-06-20 10:42:16
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