気がかりについて
春日線香

遅い帰り道は
雨に濡れててらてら光る
路側の白線に沿って歩くと
導かれているようで
なんだか安心する

怖いものは何もない
たとえば気づかずに
かたつむりを踏みつぶしていた
なんてことも

階段を上がる
ドアを開ける
部屋の中の暗さが殺到する
靴を脱いで
電気をつけようとする
手探りで
スイッチが見つからない

ふと気づく
ぽたぽたと
水道が何か話したがっている
ずっとそうしていたのか
朝から今まで
誰もいない場所で


自由詩 気がかりについて Copyright 春日線香 2013-06-20 03:38:59
notebook Home 戻る