つゆの穴
とつき

住宅地のおんなの下腹部にもにた
空き地は梅雨の日に
大きな穴が水をたたえ
けしてなみだではない
うるおいをとおざけるように
しせんを移動させていると
えのころぐさ
へくそかずら
どくだみ
しっぷが生えかかったとかげ
老人のナイフ
あれはしょうがなかった
複雑だから簡単にしなければならなかった
父のためだった
おじぎする人の肩にいるかえるは
豊かさのあかしであるが
直径三センチの時間のすべてをよく集めたものだ
かたく目をあけ喉だけをうごかす
わたしたちのちょうやくを待っている
あさはだめだ
吐き気がする
よるのつめがのびる
しんちょうときんちょう
潜水をこころみたが
彼女たちは鳥のようにいせいよく
自転車を投げ捨ててくる


自由詩 つゆの穴 Copyright とつき 2013-06-17 21:18:05
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