静寂の泉
まーつん


  耐えきれないくらいに
  煩わしい 日々の騒音

  例えば誰かが
  誰かを蔑む声

  私の方が正しい
  そう主張する声が
  街を包む空気を
  重くするのさ

  ああ
  言葉を捨てて
  心の中
  静けさを見つける

  ああ
  瞼を閉じて
  独りきりの
  自分を抱きしめよう

  秋の木々が降らす
  沢山の色合いの
  枯葉の雨の中

  君は次々と
  姿を変えていく

  卵から幼虫
  蛹から蝶へ

  白い翼を広げる
  仲間なき
  蝶へと

  沢山の自由を閉じ込めた
  オフィスビルの上を
  飛びこえて

  硝煙の立ち昇る
  戦火の地を
  飛び越えて

  出遅れたスタートを
  取り戻し追い越して

  静寂の
  蒼き夜の泉へと
  舞い降りた



  一組の翼







自由詩 静寂の泉 Copyright まーつん 2013-06-17 12:13:00
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