女
HAL
いつも想う
女は宇宙のようだと
いつも感じる
女は永遠のようだと
いつも覚える
女は有でもなく無でもない空なのだと
或る男は
女は楽器だと言った
でもそれは男が如何に愚かであるかを
証明しているに過ぎない
女は楽器ではない
終奏が続くフェード・アウトのない音楽なのにだ
女の心は真空のようだ
だからこそ何万年光年もの果ての
恒星の誕生が視える
男が視るのは滅びもう存在しない
塵となった星の放った光だけだ
女の眼に映る世界と
男の眼に映る世界は真逆と言っていいほど違うのだ
もちろん逆もまた真なりではない
そしてまた女は
持ってはならないものを持つ男ではなく
持ってはならないものを持たないものでもある
女には終わりのない始まりがある
男には始まりがあって終わりがある
それらに気づいた男は
いまから20万年前にアフリカを起源に生まれた
ホモ・サピエンスと呼ばれる現世人類の中で
片手の指を折って数えられるほどしかいない