雨模様
そらの珊瑚

雨粒が個体のように転がって撥水製の傘の斜面を

雨の街そこが始発の駅ならば待っているのはみんな雨人

家がない ただそれだけで蔑まれ
              ナメクジの這う赤いポストを

かなしみの氷河はいつしか溶かされて
               誰にも優しい雨となりゆく

ごむまりであったいつかの私 
           雨はじきかえしていたっけ たやすく

夏になるほんの少しの戸惑いが雨に打たれてたたずんでいる

目を閉じてあまおとだけを聴いている 
           りばぷうる りばぷうる りふれいん

いくつもの輪を織り成して消えていく蓮池に降る雨の糸くず

雨模様ダム湖に沈んだ三叉路で傘もささずに誰か見上げる

今日の雨 そしていつかも降るであろう雨
        ひるまずに濡れる勇気を 紫陽花に教わる


短歌 雨模様 Copyright そらの珊瑚 2013-06-15 14:20:40
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夢見る頃を過ぎても(短歌)