やわらかく
まーつん



 なにかになる

 と願いながら、
 まな板の上に

 かみねんどが
 しろく しろく
 うずくまっていて。

 なに者にも
 なれないままに
 ただ 干乾びていく。

 誰かの指で
 触れられて
 こねられて

 はじめて
 なにかになれる。

 飛べない飛行機とか、
 走れない豹とか、

 鳴らない
 バイオリンとか。

 僕は自分を
 こね上げてみた

 それを壁に
 叩き付けてみた

 床に
 踏みつけてみた

 それでも僕は
 死ななかった

 ただ
 形を変えただけだ。

 そして
 しろい塊は

 今や
 薄汚れ 潰れ
 地べたに転がって

 ゆっくりと
 脈をうち始めた





 心臓のように















自由詩 やわらかく Copyright まーつん 2013-06-14 20:22:08
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